カキクーキャク

つねづね申しあげていることだが、私の数少ない持論の一つが「種無し柿は柿ではない」である。
私は柿は好きなのですが、種無し柿だけはどうも好きになれない。しかも、残念なことに、年々種無し柿の流通量が増えてきて、種無しではないものを買う方が難しいという惨状である。
そのような状況の中、私は種無し柿を見かけるたびに、2時間ドラマの最後の場面で崖の上で開き直った犯人に語りかける刑事のように、「タネナシさん、あんた、種と一緒に、なんか大事なものまで失くしちゃったんじゃないのかねえ」と心の中で語りかけている。
それにしても、そんなにしてまで種をなくしたいのか。葡萄なんかは種がない方がはるかに食べやすいと思うが、柿の種なんて数えるほどしかないじゃないですか。その程度なら、全然問題ないじゃないですか。
「種無し柿」という表示を見るたびに、心を痛める不妊症のカップルもいるんじゃないでしょうか。と、種無し柿の文句を言うためなら、詭弁を弄することも辞さない覚悟を私は持っています。
あ、書き忘れましたが、種無し柿が嫌いなのは、身がやわらかいからです。やはり柿はシャキシャキとした食感でなければいけないというのが持論です。