読書感想文

麻耶雄嵩『痾』を読む。

この人の作品は、何がなんだかよくわからないが、よくわからないながらも惹かれるものがある。以前に『翼ある闇』と『夏と冬のソナタ』を読んだことがあり、これらも特に『夏と冬のソナタ』なんかは、「何じゃこりゃ」と思ったのだが、それでも何かおもしろい。おもしろい、というかヘンなのだ。
「何じゃこりゃ」というのは、いろいろ理由があるが、
まず、描かれる小説世界はリアリティがあるのに、「トリック解決」の段になるときわめて非現実的となる。現実世界のコードから非現実のコードへの転換で、読者としてはヘンなところに連れられていく感覚。
この非現実というか浮遊感は何なんだろう。まあ、考えてもしょうがないか。